【レビュー】NICEHCK Tears 低価格1DDの貴婦人!エントリーでも妥協なしな上品でナチュラルな音色表現バランスなイヤホン

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こんにちは。今回は私がレビューさせていただくのは初となるメーカー、NICEHCK のイヤホンのレビューとなります。同社(NICEHCK)は、中華イヤホンメーカーの中でもかなりの大手メーカーであり、中国の深センに拠点を置く、世界的な知名度を持つオーディオブランドです。主にイヤホンや交換用ケーブル(リケーブル)の開発・販売を行っており、低価格ながら高品質な製品を送り出すことで、オーディオファンから熱い支持を受けています。もともとはAliExpressなどでイヤホンを販売するセレクトショップとしてスタートしましたが、現在では自社開発の製品が主力となっており、特に「中華イヤホン」の世界では欠かせない存在となっています。

低価格帯から高価格帯の製品まで幅広くのラインナップの製品を持っている同社ですが、今回は、同社の中でもかなりのエントリー価格帯のイヤホンとなる「NICEHCK Tears」をレビューしていきたいと思います!

なお、今回は、今テクノーツでは初となる NICEHCK Japan様(https://x.com/NiceHCK_Audio?s=20)より商品をご提供頂きました。また、今回のレビュー記事に関して、製品提供以外の金銭の授受や内容に関する指示などは一切ございません。レビュー記事の内容に関しては、忖度抜きの完全に私が感じたままの印象をレビューしています。

話は少しばかり脱線しますが、わたくし個人としては今までイヤホンといったカテゴリーの製品では NICEHCK 製品を購入したことはありませんでした。イヤホンのリケーブル製品ではちょこちょこお世話になっていた程度です。理由としましては、NICEHCKさんを毛嫌いしていたわけではなく、気になってはいたんですが、当時はまだ高校生だったのもあり、資金的にあまり手を出せるような状況ではなかったというのが、主な理由です。特にベリリウムコーティング振動版 2DDにピエゾドライバー、4BAを搭載した NICEHCK NX7 MK4 は今でも手に入れたいと思っているイヤホンのひとつです。さて、本題に戻りましょうか。

今回ご紹介するのは改めて NICEHCK Tears といったイヤホンになります。商品リンクはこちら。

マイクなし3.5mmプラグモデル⇩

今回レビューしたType-C マイク付きモデル⇩

NICEHCK Tearsのレビューまとめ!

NICEHCK Tears

総合評価
4.6
音質評価
4.5
メリット
・非常に軽く小ぶりな樹脂製筐体を採用しており、耳への収まりが良く長時間の使用でも快適に使用できる
・背面が開いたオープンバック構造によるこの価格帯では珍しいほどの見通しの良い音場にラビリンスチャンバーがもたらす深みのある低音がバランス良く両立されている
・高域の刺さりや刺激を徹底して抑えたマイルドなチューニングで、聞き疲れしにくい
・Type-C端子モデルもラインナップされており、変換アダプターなしでスマホに直接挿して高音質を楽しめる
・約5000円前後の製品として、付属のイヤーピースやポーチなどの付属品類の品質が良さげ
・非常に鳴らしやすく、再生機器を厳しく選ばないため、スマートフォンなどでも気軽に使える
デメリット
・オープンバック構造ゆえか遮音性があまり高くなく、音漏れも多少あり
・高音のきらびやかさや、エッジの効いた鋭いカリッカリのサウンドを求める人には物足りなく感じられることがある
✨ こんな人にオススメ!
・デスクワークや勉強中など、長時間のながら聴き用として耳が疲れにくいイヤホンを探している人
・スマホに直接挿すだけで、余計な機器を使わずに手軽にクリアな音質を体験したい人
・ボーカル曲やアコースティックな音源を、温かみのある優しい響きで心地よく楽しみたい人

※総合評価、音質評価は約5000円での評価軸となります。

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まずは NICEHCK Tears のカタログスペックを見ていこう!

項目スペック詳細
製品名NICEHCK Tears (泪)
ドライバー構成1DD
ドライバー構成詳細10mm 二重磁気回路・デュアルチャンバー 1DD
(PET振動板・6N単結晶銀内部配線)
インピーダンス20Ω
感度127dB/Vrms
応答周波数20Hz ~ 20kHz
筐体素材ABS樹脂(オープンバック構造・音響迷路チャンバー設計)
ケーブル材質高純度無酸素銅(OFC)銀メッキ線
コネクタ0.78mm 2pin(フラットタイプ)
プラグ3.5mm(Type-C版も展開)
価格4,799円前後 (Amazon ※確証の低い情報)

今回、NICEHCK Tearsのスペックで注目すべきは、近年のトレンドとは一線を画す、10mm二重磁気回路・デュアルチャンバーダイナミックドライバーの採用です。昨今のアンダー5000円クラスの中華イヤホンといえば、液晶ポリマー(LCP)やダイヤモンドライクカーボン(DLC)といった高剛性な素材を競うように採用するのが主流となっています。そんな中、Tearsはあえて古くから親しまれているPET素材の二重振動板をベースに据えてきました。中華イヤホンメーカーで長い間使われていたが故のノウハウを生かし、内部の音響構造にとことんこだわることで、高音質を目指したのでしょう。

ちょっとした重複の含んだ小話を挟みますが、格安中華イヤホン市場において、ダイナミックドライバーの振動板素材は今やマーケティングの主戦場となっています。前回の記事でレビューさせていただいたCCA PhoenixがLCPを採用したように、硬くて軽い素材を使うことで解像度の高さやハイスピード感をアピールするのが近年のトレンドとなっていますが、そういった硬い振動板は、高域のエッジが立ちすぎて聞き疲れしやすかったり、高域に不自然な金属質のピーク(鋭い刺さり)が生じやすかったりするため、低価格帯では暴れ馬のようなバランスになって粗さが目立つようなイヤホンもしばしば見かけます。適度なしなやかさを持つPET振動板は、ボーカルの艶やかさやアコースティック楽器の胴鳴りといった、人間の耳が本能的に心地よいと感じる中低域のウォームな響きを最も得意としています。Tearsは、このPETならではの有機的で優しい音色を最大限に活かす道を選んだわけですね。

とはいえ、PET振動版をそのまま採用するのではなく、同社はイヤホン本体の音響構造などをこの価格帯では異常なほどにこだわっているようで、筐体背面の音響迷路チャンバー設計によってこの価格帯では珍しいほどの音場空間の広さを実現しています。

感度は127dB、インピーダンスは20Ωとかなり鳴らしやすい仕様となっていますね。。再生機器を選ばずに様々な機器で使えそうです。個人的な印象としては、感度が100dB、インピーダンスは30Ωを超えてきたあたりからスマートフォンへの直挿しへの駆動は厳しいように感じています。もちろん、本機 NICEHCK Tears もDAPやDACなどのいわゆる”ガチ”な再生機器に接続した方が、本機が持つ実力は発揮できます…ですが、スマートフォンでも楽しめる音量とある程度の音質クオリティーを維持できるような設計となっているのは、入門用の価格帯のイヤホンとしても初心者に優しい設計となっていると感じます。さらに挿すだけで使えるType-Cモデルも備えていることからもなおさら初心者スターターキット感、これ買っときゃ間違いない感がありますね。初めてのちょっと”ガチ”なイヤホンへの入門に非常に良い選択しとなるでしょう。

個人的に一番驚いたのが、地味な点ではありますが、筐体内部の配線に6N単結晶銀を採用しているという点です。通常、この価格帯のイヤホン内部は、コスト削減のために一般的な極細の銅線やリッツ線などが使われるのが当たり前です。というかこの価格帯で内部配線にこだわっているイヤホンを見たのは初めてです(私が知らないだけかもですが…)。
リケーブル用の単品販売であれば数千円するような高純度な単結晶銀を、シェル内部のわずかな配線に惜しみなく投入してくるあたり、NICEHCKの音質に対する並々ならぬこだわりを感じずにはいられません。銀線特有の優れた導電性が、PET振動板のマイルドな音色に埋もれがちな微細なディテールをしっかりと救い上げ、全体の透明感を底上げしています。 スペック上の素材名だけを見ると一見地味に思えるTearsですが、その中身は、最新の音響工学と贅沢な内部パーツによってPETのポテンシャルを極限まで引き出した、非常に見どころの多い設計となっています。この徹底的なこだわりが、実際の音にどう反映されているのか。実際のレビューに移りましょう。

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NICEHCK Tears をいざ開封!

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

パッケージは、この価格帯では少し大ぶりな印象ですね。12cm弱くらいの正方形サイズで、奥行きは5cm弱ほどのサイズになっています。

パッケージの蓋を開けるといきなり本体とご対面です!

パッケージの蓋部分には、中国語と英語で「音のルーツへ立ち返る」との記載がありました。中国語での記載にある「探本溯源(たんほんそげん)」は、物事の根本を突き詰め、その源流をさかのぼって探求することを意味します。そして「音质为先(おんしついせん)」は、何よりも音質を最優先にするという強い意志。英語のメッセージが示す通り、まさに「音の原点へと立ち返る」という、NICEHCKの並々ならぬ覚悟がこの一言に凝縮されています。

最近のアンダー5000円クラスの中華イヤホン市場は、新しい振動板素材の採用や、ドライバーの搭載数を競うような、いわばスペックシート上での数字の殴り合いが主流になっています。 しかしNICEHCKは、そうした目に見える数値や派手なプロモーションの喧騒からあえて一歩退き、イヤホンにとって本当に大切なものは何かという本質的な問いに向き合ったのでしょう。

それこそが根本を突き詰めるプロセスであり、その結果として導き出された答えが、あえて奇をてらわないPET振動板の採用と、音響工学に基づいたオープンバック構造の追求だったのでしょうね。 スペックで飾るのではなく、実際に耳に届く音そのものの心地よさや自然さを最優先にする。この言葉は、トレンドに流されることなく、純粋に音楽を聴く歓びだけを追求するというブランドの決意表明といえるでしょう。

最初のパッケージ上部には「YUANDAO」の文字が記載されていました。このモデル名は、NICEHCKの歴史を語る上で欠かせない伝説的な格安インイヤーイヤホン「原道」のモデル名です。原道は、缶コーヒー1本分ほどの衝撃的な低価格でありながら驚くほどの好音質を誇り、世界中のオーディオファンに安くて良い音という有線イヤホンの本質的な楽しさを教えてくれた、まさに中華イヤホンのルーツとも言える存在です。今回のNICEHCK Tearsはそんな原点に回帰する。かつて原道が世界に与えた、手軽に、そして純粋に音楽を楽しむという原点へと立ち返り、それを現代の技術でさらにビルドアップして、音質最優先で作り上げた製品ということなのでしょうね。

エントリーモデルであっても並々ならぬこだわりが注がれているのが改めて分かりますな。

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NICEHCK Tears の付属品は?

パッケージを開けると、Tears本体に加えて、買ってすぐに使い始めるのに十分な付属品が同梱されています。

  • イヤーピース(S/M/L 各サイズ、計5ペア)
  • 専用収納ポーチ ・ケーブルクリップ
  • 着脱式ケーブル(3.5mmプラグ、またはType-Cプラグ)
  • 説明書、アプリ紹介用バーコード、合格証

それぞれの付属品について、ブログ読者の目線で詳しく見ていきましょう。

イヤーピース

まずはイヤホンの使い心地を大きく左右するイヤーピースです。5000円以下のエントリークラスでありながら、サイズや形状の異なるシリコンイヤーピースが計5ペア同梱されています。おそらく同社の NICEHCK 07というイヤピですね。公式サイトにて5サイズセットが 1098円 で販売されているものなのでかなりしっかりとしたものが付属しているようです。これ5000円くらいのイヤホンなんですが…採算とれてるのか心配になるレベルですぜ…w

収納ポーチとケーブルクリップ

持ち運ぶ際にかさばらない、コンパクトなソフト収納ポーチが付属しています。カバンの中でイヤホン本体が他の持ち物とぶつかって傷つくのをしっかりと防いでくれます。

さらに、イヤホンを絡ませずに収納するためのケーブルクリップも同梱されています。これがついてるのはかんり珍しいですね。

着脱式ケーブル

そして、本体カラーにマッチするしなやかな2pin着脱式ケーブルです。今回は3.5mmプラグ版、あるいはType-Cプラグ版のどちらか選択した仕様のケーブルが付属します。今回私が選択させていただいたのは、Type-Cプラグマイク付きモデルになります。

ケーブル自体が非常に柔らかくしなやかなため、耳の後ろに這わせる「シェア掛け」をしても突っ張る感じがなく、取り回しは極めて良好です。最初からこのレベルのケーブルが付属していれば、当分の間は断線や使いにくさに悩まされることはないでしょう。ちょっとゴムの素材感が気になる方はリケーブルしてもいいでしょうね。

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NICEHCK Tears の本体デザインは?

写真撮影がうまくいかねえ…(´;ω;`)ウゥゥ

NICEHCK Tearsのデザインは、歪な五角形のような形をしています。ボディー素材は極めて一般的なABS樹脂が採用されており、耐久力も問題ないでしょう。仕上げはマットな質感で、光沢仕上げの弊害である指紋や汚れ、傷が目立つということもありません。お世辞にも高級感は、ほとんど感じられませんが、この価格帯では当然といった印象ですね。筐体の重量は、前述したボディー素材もあってか、かなり軽量で耳への負担は少なそうです。装着感ですが、軽量なことも相まってボディー全体で支えるタイプであり、イヤーピースに頼るものに比べて極めて良好な装着感になっています。筐体のサイズもかなりコンパクトに収まっているため、耳の小さい方でも安心して使用できるでしょう。

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NICEHCK Tears の視聴環境

■ 視聴環境システム ・ケーブル

  • 付属品 Type-C マイク付きケーブル(直挿し)
  • Zisin 326 4.4mm
  • イヤーピース:付属品(NICEHCK 07)
  • 使用スマートフォン:Zenfone 11 Ultra(Type-C 直挿し)、Xperia(Type-C 直挿し)
  • 使用DAP/DAC:HiBy R6 II(3.5mm/4.4mm ※リケーブル時)
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いよいよ NICEHCK Tears の音質を聴いていく!

🎧 音質・特徴チャート(5000円アンダー基準)

低音域4.4中音域4.3高音域4.0解像度4.0音場4.4
4.4
低音域
4.3
中音域
4.0
高音域
4.0
解像度
4.4
音場
音の傾向
狭い
広い
暖色寄り
寒色寄り
解像度重視
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り

📊 周波数バランス

-6-30+3+6強い弱い 重低音低音中低音中音中高音高音超高音

今回のNICEHCK Tearsの特徴としては非常にバランスの評価になっています。あまり得意不得意な帯域がない評価となっています。特に音場の評価が良いのは特に今作一番の特徴といえるポイントでしょう。

実際にスマートフォンへの直挿しや、HiBy R6 IIなどを使用して、付属品環境をメインにその音質を評価していきます。

全体的な音質傾向

一言で表すと、NICEHCK Tearsの音質は、この価格帯の1DDイヤホンでは異色の広さを誇る音場と聴き疲れ知らずの癒し系ウォームサウンドです。

近年の格安中華イヤホン市場に溢れている、カリカリに解像度を尖らせた寒色系のサウンドとは完全に真逆の音質で、特にバラード系の曲との相性は最高です。高域の刺激感などは皆無で、ハーマンターゲットを低域寄りに寄せたようなバランスといった印象を受けます。

特筆すべきは、やはり背面の「オープンバック構造」と内部の「音響迷路チャンバー設計」がもたらす、価格破壊レベルの音場の広さでしょうね。密閉型のイヤホンにありがちな、頭の中に音がこもる感覚(頭内定位)が非常に少なく、まるで目の前にふんわりと空間が広がるような、見通しの良い音の抜け方をしてくれます。音場は前後にはあまり広くはない印象ですが、(それでもこの価格帯のイヤホンと比較すると広め)横方向への音場空間が、かなり豊かな印象です。個人的には加藤ミリヤさんの楽曲との相性が抜群でした。

ガチガチのモニターライクな解像度を求める人には「優しすぎる(あるいは眠い)」と感じられるかもしれませんが、音楽を「聴き疲れせず、心地よく流し続けたい」という用途においては、5000円以下でこれ以上の選択肢を探すのは難しいと思わせるほどの完成度を誇っています。

低音域

オープンバック構造と聞いて「低音がスカスカなのでは?」と懸念する方もいるかもしれませんが、そこはデュアルチャンバー設計の恩恵が見事に効いています。

ズドンと脳を揺らすような暴力的な重低音ではありませんが、アコースティックベースやシンセの低い帯域が、空気感を伴って「じわっ」と深く沈み込みます。PET振動板らしい適度な重みと、ラビリンスチャンバーが作り出す豊かな余韻があり、開放型特有の抜けの良さと、心地よい低域の量感が完璧にトレードオフされていますね。

若干の解像度の甘さを感じますが、この価格帯としては十分優秀な方でしょう。

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中音域(ボーカル)

本機の最大の主役であり、最も美味しい帯域です。 硬さのないPET振動板の良さが100%活かされており、ボーカルの距離感が絶妙に近く、声のぬくもりや息遣いが非常に滑らかに描写されます。寒色系サウンドとは対極をなすような体温さえも描き出すような音質です。

特に女性のバラード曲やアコースティックな弾き語り、J-POPのボーカルものを聴いたときの、耳元に優しく届くような質感にはうっとりさせられます。内部配線の6N単結晶銀が効いているのか、ウォームでありながらも声の輪郭がボヤけず、透明感のあるすっきりとした聴きやすさを両立しているのが素晴らしいですね。

高音域

極めてマイルドで、刺さりや刺激とは無縁の世界です。 シンバルやハイハットの金属音が耳に突き刺さるような感覚は徹底的に排除されており、どれだけ音量を上げても、あるいは録音状態の粗い音源を聴いても、耳が痛くなることがありません。

その反面、超高域の「カリッとした鋭さ」や「きらびやかな金属的な伸び」を最優先したい方にとっては、少し大人しすぎて物足りなさを感じるポイントになるでしょう。しかし、この限界まで抑えられた刺激こそが、長時間のながら聴きでも全く耳が疲れれない、最大の武器になっています。

音場と空間表現

文句なしに本機最大の強みです。 上下・左右・奥行きともに、この価格帯の密閉型イヤホンではまずお目にかかれないレベルの広大な空間表現を持っています。音がダブつかずにスッと外側に消えていく開放型ならではの心地よさは、まるで小型のオープン型ヘッドホンを聴いているかのような錯覚を覚えるほどです。

ただし、メリットでも触れた通り遮音性は低いため、静かな部屋でのデスクワークや勉強、リラックスタイムのお供に最適です。

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専用アプリでさらに広がるTearsの世界!

実はこのイヤホン、Type-C版のモデル(DSP内蔵ケーブル)を使用している場合、専用のスマートフォンアプリ(※現状はAndroidメイン)に接続して、音質を徹底的にいじり倒すことができます。

アプリのホーム画面には、イヤホンのステータス表示に加えて、画面下部にトグルスイッチで簡単にオン・オフを切り替えられる「特殊EQ」という項目が用意されています。 用意されているのは「レジェンドサラウンド」と「ゲームモード」の2種類。 レジェンドサラウンドをオンにすると、もともとTearsが持っている広い音場がさらに擬似的に拡張され、音楽に包み込まれるような立体的な音響空間を楽しむことができます。ゲームモードは音の遅延を極限まで抑える機能のことで、動画視聴はもちろん、音のタイミングが重要になるFPSなどのアクションゲームをプレイする際に重宝します。コンパクトな筐体と相まって、ゲーム用途としての実用性もバツグンです。

そして「サウンド選択」の画面に進むと、まず目を引くのがあらかじめ用意されている3つの公式イコライザープリセットです。 その名前がこちら。

・後悔の涙(デフォルト) ・バランス良くニュートラル ・欧米パワフル

実際のスクリーンショットを見て、思わずフフッとなってしまった方も多いのではないでしょうか。 なんとも言えない、無理やり和訳された独特のネーミングセンス!(笑) デフォルトのチューニング名が「後悔の涙」というのは、製品名の「Tears(涙)」に無理やりエモい言葉をくっつけたのだと思いますが、オーディオ製品のデフォルト設定としては斬新すぎますね。 「バランス良くニュートラル」は文字通り少し落ち着いたフラット寄りの音色に、「欧米パワフル」は洋楽のポップスやロックに合いそうな、低域と高域をガツンと持ち上げた没入感のあるドンシャリサウンドに切り替わります。

そして、このアプリの真骨頂とも言えるのがカスタム(Custom)EQモードです。 よくある簡易的なイコライザーではなく、グラフィカルなインターフェースで直感的に操作できる「8バンドのパラメトリックEQ(PEQ)」が搭載されています。 調整できる周波数は22Hz、72Hz、390Hz、1700Hz、3300Hz、4500Hz、9000Hz、14000Hzと、重低音から超高域まで絶妙なポイントがセットされています。さらに、ゲインの調整だけでなく、電気回路の設計でおなじみのフィルターの鋭さをコントロールするQ値まで数値で細かく追い込めるプロ仕様の画面になっています。

プリセットの「後悔の涙」や「欧米パワフル」の極端な味が少し合わないなと感じても、このカスタムモードを使えば、各周波数帯域の上がり下がりをミキサー感覚で細かく手動調整し、自分だけのオリジナルの音を作り出して別名で保存することが可能です。 ここまでこだわり抜かれたガッチガチのカスタムイコライザーは、こういった類の低価格帯の製品ではなかなかお目にかかれない、非常に珍しく本格的な仕様です。

変な日本語訳の面白さも含めてガジェットとしてのプレイバリューが非常に高く、特殊EQの各種モードや、このカスタムEQ(8バンドPEQ)目当てでType-C版を選ぶ価値は十分にあると感じました。

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各構成・組み合わせ別評価

検証曲:WaMi – KARMA (※以前レビューしたCCA Xyrraの記事でも使用した、エレクトロニックとベースミュージックが融合した私の最近のお気に入りリファレンス曲です。)

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Xyrraのときは重低音の暴力と鋭い高域を測るために聴きましたが、今回のTearsでは「この楽曲の持つ空気感とボーカルの分離がどう変化するか」に着目して聴いてみました。

NICEHCK Tears(Type-Cモデル) × Zenfone 11 Ultra / Xperia 5 Ⅳ

まずは、本機の真骨頂とも言えるスマートフォンへのType-C直挿しでの評価です。変換アダプターを挟まない手軽さは本当に素晴らしいの一言。

スマートフォンでの駆動でも、Tearsの鳴らしやすさ(感度127dB/インピーダンス20Ω)のおかげで、音量がとりづらいといったストレスは一切ありません。

『KARMA』を聴いてみると、スマホ直挿しとは思えないほど見通しの良い広い音場が広がり、WaMiさんのボーカルが中央にクッキリと浮かび上がります。サビの重低音の沈み込みも必要十分で、スマホ1台でここまでの空気感とリラックスした高音質が手に入るのは、初心者にとってまさに「これ買っときゃ間違いない」と言えるスターターキット的なクオリティです。

NICEHCK Tears×Zisin 326 4.4mm×New Hiby R6

続いて、今後単体でのレビューを予定している注目ケーブル「Zisin 326」との組み合わせを試していきます。 Zisinさんは主にケーブルを販売されているメーカーで、現時点ではAmazonでの取り扱いはなく、アリエクスプレスのみでの展開となっているようです。

この Zisin 326 ですが、中身がかなり面白いことになっています。あまり見かけないロジウムメッキプラグに、導体には「4Nの高純度無酸素銀箔線」を採用。 工学的な話をすると、一般的な銀メッキ線(銅の表面に銀をコーティングしたもの)とは構造からして別物です。99.99%の純銀を極薄のリボン状(箔)に加工して束ねた、非常に特殊な導体を採用しているのが最大の特徴ですね。

導体を円柱状ではなく平坦な箔状にすることで、表面積が劇的に広がっています。 電気信号、特に高域成分は導体の表面付近を流れる「表皮効果」という性質があるため、表面積が広い箔状導体は高周波伝送において圧倒的に有利です。 さらに56本もの箔を独立させて編み込むリッツ構造によって、電気回路における抵抗の並列接続と同じ原理でインピーダンスを極限まで抑え込んでいます。 これにより、20kHzを超える超高域の倍音成分の保持率が大幅に向上し、純銀特有の透明感を実現しているようです。

さて、この Zisin 326 を NICEHCK Tears に組み合わせてみたところ、これが予想を遥かに超える、とんでもない化学反応を見せてくれました!

もともと Tears は付属品のチャートでも音場が「4.4」とかなり広い空間表現を持っていましたが、この銀箔線に変えることで、その音場がさらに限界突破します。特に上下と奥行き方向に対して壁が取り払われたかのように、どこまでも自然に、そして広大に空間が広がっていく感覚は圧迫感が一切なくて本当に心地よいです。

音質面での変化も非常に面白いです。 前回の Xyrra の時は「イヤホン特有の荒々しさがそのまま出て聴き疲れしやすくなる」というスリリングな変化でしたが、もともとマイルドで余韻重視(75%)な Tears と組み合わせると、お互いの長所が完璧に噛み合います。 銀箔線が持つ圧倒的な高域の伝送特性によって、Tears の滑らかな高域にクリスタルな煌めきと極上の透明感が上乗せされますが、ベースがウォームな質感のおかげで不快な刺さりやキツさは一切感じさせません。

さらに、盛り気味だった重低音はボヤけることなくキュッとタイトに引き締まり、より深く、重く、解像感のある上質な低域へと進化します。全体の解像度(4.0)の底上げ感も凄まじく、ABS樹脂の豆型筐体であることを完全に忘れさせるほどの、見通しの良い高クオリティなサウンドへと大化けしました。

Tears が持つ「広い音場と豊かな余韻」というポテンシャルを、Zisin 326 の圧倒的な導体特性が限界まで引き出したような、非の打ち所がない極上のリスニング環境が完成します。もし Tears を手に入れて、さらに透明感のある広い世界を覗いてみたいなら、この組み合わせは間違いなく大正解の選択肢になると断言できます。

⇩Zisin 326のアリエクスプレスの販売ページ
https://ja.aliexpress.com/item/1005009022544126.html

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NICEHCK Tearsのレビューまとめ!

結論として、NICEHCK Tearsは「5000円以下で、圧倒的な心地よさと広い音場空間を、手軽にスマホ直挿しで楽しみにしたい人」に最高の回答となる一本です。

スペックの数字を競い合う格安中華イヤホン市場において、あえて「音の本質的な心地よさ」に向き合い、PET振動板とオープンバック構造を突き詰めたNICEHCKの決意(探本溯源・音质为先)は、しっかりとこの音に結実しています。

■ こんな人にオススメ!
・とにかく耳が疲れにくく、長時間の作業や動画鑑賞、ながら聴きに使えるイヤホンが欲しい人
・スマホに挿すだけで、DAC等の追加機器なしでクリアな広がりある音を体験したい人
・キツい高音や刺さりが苦手で、温かみのある優しいボーカル曲をゆったり楽しみたい人

かつて「原道」が教えてくれた、有線イヤホンを純粋に楽しむというルーツ。それを現代の技術で美しく昇華させたこの「Tears(泪)」、初めてのちょっと良い有線イヤホンへの入門機としても、ベテランマニアの最高の癒やし枠としても、ぜひチェックしてみてください!

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